設立一周年に寄せて

設立一周年に寄せて

本日、株式会社愛宕プロパティは設立一周年を迎えました。日頃よりお力添えをいただいている取引先の皆さま、金融機関の皆さま、そしてすべての関係者の方々に、心より感謝申し上げます。

この節目にあたり、私たちが何を目指しているのか、その考えをお伝えさせてください。

不動産とエントロピー

「エントロピー」という言葉があります。物理学の用語で、簡単に言えば「ものごとの乱雑さ」を表す概念です。そして自然界には、放っておけばエントロピーは増え続ける、つまり、ものごとは勝手に散らかっていくという法則があります。

不動産の世界にも、まったく同じことが起きています。

共有持分が相続のたびに細分化される。借地権と底地が別々の人の手に渡る。関係者が増え、連絡がつかなくなり、合意形成がどんどん難しくなっていく。これはまさに、不動産という世界でエントロピーが増大している姿です。

その先に待っているのは、空き家、荒廃、そして街の活力の低下です。

私たちの仕事は、この流れに抗うことです。絡み合った権利関係をほどき、錯綜した利害を調整し、「誰かが安心して暮らせる場所」へと再生する。言い換えれば、増大するエントロピーに対して、秩序を取り戻すこと。それが愛宕プロパティの事業の本質だと考えています。

衣食住の「住」。人が安心して眠れる場所を社会に届けること。私たちはそれを、単なる不動産の売買としてではなく、秩序の再構築として捉えています。

人工知能との共創

設立一年目にして、私たちは一つの確信を得ました。AI(人工知能)は、業務を効率化するための便利な道具にとどまりません。それは、私たちの考える力そのものを広げてくれるパートナーです。

不動産取引、とりわけ権利関係が複雑な案件では、法律・税務・建築・金融、さらには関係者の心理まで、多くの要素が絡み合います。一人の人間がすべてを把握し、最善の判断を下すには限界があります。AIは、その限界を押し広げてくれる存在です。

もちろん、AIが万能だとは思っていません。現場で積み重ねてきた判断力、数字にはできない人と人との機微、交渉の呼吸、リスクの予感、こうしたものは、簡単に置き換えられるものではありません。

だからこそ、人間の現場感覚とAIの知的処理能力を掛け合わせることに意味があると、私たちは考えています。

エージェントの時代へ

2026年、AIは大きな転換点を迎えています。これまでの「質問すれば答えてくれる」チャット型から、自分で考え、判断し、行動する「エージェント」型へ。AIが指示を待つのではなく、自ら課題を見つけて動く。そんな時代がすでに始まっています。

愛宕プロパティは、この変化を静観するつもりはありません。

私たちは、AIエージェントを「AI社員」としてチームに迎え入れ、人間とAIが一緒に働く組織をつくっていきます。調査、分析、書類作成、市場の動向チェック。従来なら何人もの人手が必要だった仕事を、AIエージェントが担う。人間は、AIにはまだ難しい創造的な判断や、お客さまとの直接のコミュニケーションに集中する。

少人数でありながら、大きな組織に負けない知的生産性を実現する。それが、私たちの描く未来像です。

「不動産業」というラベルを超えて

最後に、一つだけ問いかけを残させてください。

愛宕プロパティは「不動産会社」でしょうか。もちろん、宅地建物取引業の免許を持ち、不動産の売買・仲介・管理を行っています。けれど、私たちが本当にやろうとしていることは、秩序を取り戻すこと、知性を拡張すること、安心して暮らせる場所をつくることです。

AIやブロックチェーンといった新しい技術は、業界と業界の境界線を溶かしつつあります。私たちはその変化を恐れるのではなく、歓迎します。

不動産が持つ本質的な価値、人が安心して暮らせることを守りながら、その実現の方法は常にアップデートしていく。古くから受け継がれてきた知恵と、最先端の技術を融合させながら、業界の枠にとらわれない価値を生み出してまいります。

設立から一年。私たちの歩みは、まだ始まったばかりです。

けれど、向かう先ははっきりと見えています。エントロピーに抗い、秩序をつくる。人間の感覚とAIの知性を掛け合わせる。そして、安心して暮らせる「住」を、一つでも多く届ける。

引き続き、皆さまのご支援とご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。